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  • 執筆者の写真一般社団法人 心理ケア協会

サクラ サイタ




桜が咲く・・


この響きにどれだけの人が元気をもらって暮らしているのでしょう。


2月から5月の間で、日本列島を桜が北上しますね。


北海道の桜は、まだまだ北上の途中で楽しめる地域があります。

今年は密を避けて、静かに眺める桜の名所も多いことでしょう。



もう15年以上も前の出会いです。癌の末期の男性Aさんが言いました。


「僕は桜が大好きだ。若い頃はかあちゃん(妻)を連れて旅行にたくさん行ったよ。

でもね桜が咲いている頃の旅行は特にイイねー。俺はもうそんなに長くないけどできれば桜の頃に死にたいな~。満開の桜の中でパッと散る人生なんて粋な夢だねー」


とベットの上で桜吹雪を笑顔で話されていた1月でした。


日ごと身体が衰弱していたAさんを奥さんが励まします。


「あなた、ほら、桜の話を聞かせてあげなさいよ、桜が咲くまで頑張るんでしょ。」


桜の話の時は少しだけ元気になるAさんでした。


「ああ、どうも・・今日もまだ生きてましたわ、まだ桜が来ないからね」


とウトウトしながら話され、腫れあがった足のマッサージに眠る時間が増えていきました。


『Aさん、沖縄の桜が咲き始めましたよ、九州や四国も咲いたんですって。』


訪問の度、そんな話が増えていきました。


「ああそうか、北海道までは・・やっぱり無理だなぁ」


と半分眠りの世界で伝えてくれる言葉の向こうには、たくさんの倦怠感や衰弱に耐えていたのだろうと感じられました


それから数週間後、『頑張れ』とは言えない十分な頑張りの中で、静かに眠るように亡くなりました。

グリーフケアに持参した満開の啓翁桜を奥さんと眺めて笑顔の遺影に深々お礼をお伝えしました。

元気をいただいたのは私たち訪問者だったのかもしれません。



あれから何年もの時間を経て桜の季節に幾多の困難がありました。


10年前の4月、東北の避難所の前で泥をかぶりながらも咲いていた桜に


「それでも桜は咲く」


と教えられ、昨年は連休時期には札幌のクラスターで全国から助けをお借りしました。


桜はたくさんの花を咲かせており、疲れた支援者の方々が言いました。


「こんな時でも北海道で桜はがもう一度見れてヨカッタ」


と。


今年も深刻なコロナ禍で迎えた桜ではありますが、“サクラ サク” 中であと少しの頑張りと元気をくれる自然の力を信じたいと思います。



皆様どうぞご自愛ください



代表理事:真鍋

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